あり余る時間、老いて、なお楽しく Dire Straits 「Communique」

老いに気づく「あり余る時間」

 僕が老いを意識したのは定年退職後の生活の変化、特に、あり余る時間からです。会社に毎日行って仕事をして土曜日曜を楽しみに一週間を過ごす生活を44年間過ごしてきたんですから、「早く自由になりたいな」と、毎日が予定のない自由な生活に憧れていました。しかし、予想はしていましたがあり余る自由な時間をどう過ごすかに戸惑うのは当然です。

 今は、春から秋まで毎日ではありませんが農作業をして雨が降れば骨休みと喜びます。雪の降る冬は全く休みです。することがありません。完全リタイアして「あり余る時間」に慣れて受け入れるまで「身体とアタマをどう使いどう過ごすか、どう軟着陸するか」は大きなテーマです。

「あり余る時間」に慣れて受け入れる。

 退職後は人との交流が減り、身の丈の小さい暮らしになります。あり余る時間と生活の変化に慣れ、生活を小さくして相応に暮らすべしと理解しても「じゃどうするか」です。ひとつは日常生活を楽しむです。家で料理をして食べる楽しみや家事をする楽しみもあります。家内が不在の時は洗濯をします。洗濯機に放り込んで、干して、取り込んで、きれいに畳んで収納すると気分も良くなります。掃除や片付ける楽しみもそうです。

 なにか趣味はと言われた時に、薪ストーブ用に木を切ったり割ったりしていますと答えます。僕の「薪ストーブ生活」は遊びです。木を切り、運び、割り、積んでストーブで燃やす一連の作業は楽しみの中でも大きなウェイトを占めてます。
山でチェーンソーで木を切るのは危険を伴いますから、一人では危ないので近所の薪ストーブ仲間と協力して切ります。こういう人との交流があるからこそ長続きしてます。 

いい睡眠は健康の元です。

 20時に就寝、まだ夜が明けない4時半から5時に起床、昼寝も1時間弱程します。早く起きて徐々に夜が明ける時間を過ごすのは気分のいいものです。睡眠時間は十分ですが、気になるのが「睡眠の質」です。なにしろ2〜3回おしっこに起きますからね。とても「睡眠の質」がいいとは思いません。若い時のように朝9時まで寝ることができ、目覚めると朝というようにはいきません。よく眠るためには身体を動かすだけでなく、アタマも適度に動かして眠るのが大事です。それでも、いい睡眠はなかなか取れません。 

グラフの薄い部分はおしっこに起きた時間、睡眠が中断してます。

老いに気づき、カラダは運動して現状維持を目指します。

 老いは身体の健康を保つことを意識するようになります。身体が強ばったり固くなるので、朝食後、家内が続けているラジオ体操に参加してストレッチ運動をします。誰でもが知っているラジオ体操第一第二と続けてやるとかなり身体がほぐれますからお勧めですね。ラジオ体操はスマホで流せます。それから歩いてゴミ捨てに行き、帰りは少し遠まわりして1キロ程歩きます。歩く運動は手軽で簡単にできますから短い距離を朝、午前、午後と歩きトータルすると1日6キロ位は歩きます。

 若いときの無理からか膝と腰に不安があり走ったりの無理はできませんが、歩くことは大丈夫です。身近で手軽で楽しく身体のバランスを保持するいい運動です。歩速は早いほうが運動にはいいですが無理はしないで普通の歩速で歩きます。

 ウオーキングはスマホで音楽を聴きながら歩く楽しみと聽かないで歩く楽しみがあります。マイケル・ジャクソンのリズミカルな音楽を聴きながら歩くと気分も上々です。季節ごとの風や川の水音など自然を感じて歩きたい時は音楽は不要です。

 昨年は退職後初の冬で農作業もなくすることもないので、身体のためと「せっせっと」朝昼夕方とウオーキングをしたら腰痛がでて、腰痛体操をしつつウオーキングを続けていたら腰痛がますますひどくなりました。気持ちだけ前のめりして身体がついて行かなかったんですね(反省)。

 あり余る時間に手軽にできる軽い体操と散歩をして、体力を長く現状維持にとどめることを目指します。身体に過度な負担にならないようにします。

アタマは好奇心を持ち続け、なんとか現状を維持したいです。

 在職時は上司、同僚、部下と仕事上のコミュニケーションを取り続け、瞬間的に反応したり判断したりします。取引先との対応にはかなり神経を使い、朝から夕方まで相当量のアタマを使い一日を過ごします。それが退職後は「今日は一日中カミさん以外とは誰とも話をしなかった。」という日が当たり前になります。そうすると簡単な単語がすぐでてこないことがあります。これも退職後に老いを感じることです。

 在職時と違い人と会う機会が減り、仕事におけるストレスもありませんから心の平静は保たれることが多いようですが、適度なストレスがないのも困りものです。それは刺激のない「あり余る時間」で毎日を過ごすということですから。 

アタマを使うのは大事 昔のひとは「読み書きそろばん」といった。

 読書の対象はすごく変わります。在職時に多かったビジネス書が、ほぼ、ゼロになり、「いかに生きるか」をテーマにした新書や歴史書等に変わりますね。これも退職を契機に生活が変わったことからでしょうか。また、読書量は眼の衰えやストレスフリーの生活からか根気が続かなくなりかなり減ります。

 昔から「よく読み、よく書き、よく学ぶ」は年をとっても至言だと思います。あり余る時間に本を読むことは大事です。伊藤忠商事会長だった丹羽宇一郎さんは著書「老いた今だから」で時間がかかってもいわゆる「考える読書」にトライすることを勧めてます。丹羽さんは同書で「大航海時代叢書全42巻 岩波書店」に取り組んでいる自分を紹介しています。

 図書館で読みたい本を見つける。著書数の多い評価の高いベストセラー作家の全著作にトライするのはいいかもしれません。例えば、幕末から明治開明期の国家観を書く司馬遼太郎、市井の人を書く藤沢周平、鬼平犯科帳を代表作とする池波正太郎は著作数も多く、「あり余る時間」に自分の好きな本を読みふける喜びを再認識したいですね。

読書は知らない世界を知る方法です。

楽しく暮らす、老いても好奇心とワクワク感を持ち続けたい。

 刺激のない「あり余る時間」で毎日を過ごすのか、「あり余る時間」で新しいことに挑戦、前向きに生きるのかです。いくつになってもワクワクする好奇心を持ち続けることは大事です。日記や記録をとることは頭の働きを維持するために効果があると思います。池波正太郎さんの「銀座日記」を読むと「どこに行き、何を食べ、何を買い、何を読んだか」を記録していて、これは参考になり読者を魅了します。いくつになっても記録する勉強するは面白いなと思います。池波さんほどは無理としても好奇心を維持したり記録することはボケ防止に必要ですね。

このブログはワードプレスで書いてます。始めるとHTMLの知識も必要かなと感じました。もちろん初心者だから入門程度と思ってメルカリで探したのがヒューマンアカデミーの教材です。冬はすることもないし、「あり余る時間」にちょうどいい頭の勉強と思い、とても安かったので購入しました。少し始めたところで春の農繁期にはいったので中断です。どこまでやれるか分かりませんがカネをかけず我流でやりましょう。趣味ですからね。

カラダ、気候の変化に気をつける。

 若い時に比べ気候の変化に身体がついていかないと感じることが多くなってきました。特に、秋から冬にかけての気温低下に「寒い寒い」と身体がついていかない自分を痛切に感じます。多分、寒さに慣れる身体の耐性が落ちてきています。寒いなと感じたまま厚着をしないと喉や身体が強ばるなどの変調をきたします。
 初夏から秋までの高温時も、ちょっと油断して汗をかいたまま長い時間を過ごすと具合悪くなります。これが若い時との違い老いを感じる時です。

食事はとても大事

 粗食こそが健康の秘訣といいます。しかし、おかげさまでまあまあの体調でお腹もすきますから、好きなものを食べたい飲みたいという欲求があります。あまり量を食べないほうがいいと思うのですがダメです。つい食べすぎて後悔する毎日です。

人との付き合い

 サラリーマン時代の友人とは、退職後は同じ県内でも離れていることもあり会う機会はめっきり減りましたが、久しぶりに会って少しの酒とランチと昔話を楽しむのはいいものです。
年賀状はだいぶ前に終息としました。年末になると年賀状を書かなければと強迫観念に襲われてましたので思い切って年賀状も断捨離しました。年齢とともに動ける行動半径も狭くなり、人との付き合いが減ってゆくことは仕方ないことです。

定年退職後をどう生きるか。どれだけこのテーマが語られてるか。

 定年退職後をどう生きるか、仕事に代わる「生きがい」はどうやって見つけるか。待ちに待っていた「定年後」は待っていたものでなかった、あり余る時間に飽き飽きしちゃった、「楽しい老後」はどこにありますかなど、本当の定年退職後はどのように語られているのでしょうか。

 退職後も次のステージで現役時代と同じように週5日、バリバリ仕事する人もいます。働いてばかりではつまらな人生と思う人もいます。遠い昔に聞いた「小さい暮らし」「清貧の暮らし」は理想と思いますが、なかなかカネのかかる世の中で思いと現実のギャップもあります。週4日程度の自由な時間を持ち、週3日程度(できれば半日)の「小さな仕事」をしてバランスよく過ごすことが頭も身体も健康を維持できるよう思います。

 この松本貴志さんの 「ほんとうの定年後「小さな仕事」が日本を救う」は2022/8月に刊行された新書でベストセラーになりました。ちょうど完全リタイアしようかどうしようかという時でしたから興味をもって買い求めた本です。その中で仕事を離れ年金だけで暮らすという経済的なことと「月10万円の「小さな仕事」」について触れてます。

 小さな仕事をして経済的に豊かで社会性を維持することなど、ほんとうの定年後を考えるにあたって色々な切り口でアプローチしてます。本書を読むと「小さな仕事」が退職後の幸福感と日本社会を支える鍵の一つと思えます。デフレ経済からインフレに向かいモノの値段はビックリするほど上がってきて年金だけでは暮らせない問題もあったり、労働力不足を高齢者に頼る時代の要請や労働年齢が伸び健康のためにも「小さい仕事」に喜びと働きがいを見出すことが大切だと僕も強く思います。

かかりつけ医との付き合い

 少々、血圧が高いことや血糖値が基準値スレスレということで、かかりつけ医から2ヵ月に1回、血液検査と尿検査をしてもらい値の変化をみてもらい、薬は血圧降圧剤を処方してもらっています。

 身体は着実に老化にむかって進んでゆきます。いつまでも若くいられればいいですがそうはいきません。自分自身と家族のためかかる検査を定期的に行うことは大事です。時々、医院の待合で古くからの知り合いに会います。お互い身体の不具合をお披露目するという年相応の話です。総じて血圧が高く、血糖値も高いと同じ傾向です。それを聞いて「ニヤリ」「安心した」という僕がいます。老いての会話は「薬自慢」身体の状態が中心になるのでしょうね。

この1枚 Dire Straits 「Communique」

 このアルバムは46年前の1979年発売のセカンドアルバムです。僕が社会人になった年です。学生時代にファーストアルバムのDire Straitsを聴きましたが、このセカンドアルバムのほうがとても鮮烈な印象でした。今聴いても全く古くないですね。マーク・ノップラーが全曲を作曲しています。最初の曲「Once Upon A Time In The West」からかっこ良く、最後の曲「Follow Me Home」まで洗練された曲が続きます。Youtubeで是非、聴いてみてください。やっぱりアメリカではないブリティッシュって感じがいいですね。

t.yakubo

地方銀行、リース会社、酒造メーカー勤務後67才で160アールの稲作農家を始める。

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